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ひぐらしのなく頃に。


圭一と梨花。


+ + + + + + + + + +
最近、梨花ちゃんからの電話が増えたような気がする。いや、前も無かったわけではないのだが、それまでは何かしらの連絡が伴っていたのに、最近は特に用が無くてもかかってくることが増えた。
別にそのことに関しては何か不満があるわけではない。むしろ嬉しい。ただ、最近親父が電話をつなぐたびに、何か含んだような顔でニヤニヤと俺のことを見てくるのが非常に気まずい。


その日も、例によって梨花ちゃんから電話が掛かってきた。俺はこの頃、夜に掛かってくる電話はなるべく自分で取るようにしているので、「前原さんのお宅ですか?」と尋ねる梨花ちゃんの声をよく聞く。それがまた余所行きの声というか、いつもの声とは少し違ってまた可愛らしくて……いや、それは今はどうでもいいことだ。
梨花ちゃんは電話を取ったのが俺だとわかると、みぃと嬉しそうな声を漏らす。それがまた……いやだからそれは置いておくとして。
電話はいつも、学校であったこと、部活のこと、レナや魅音や沙都子、詩音、そして悟史のことなど、俺の周りには話題には事欠かないのでそんな内容で話が進む。
ただその日は、ある程度話題が出尽くしたところで、俺が疑問に思っていることを尋ねてみた。つまりは、何故最近梨花ちゃんは俺に電話をかけてくるのか、ということだ。
「みー……圭一は迷惑でしたか?」
「いやいや、断じてそんなことはないんだ! ただ単純に、どうしてかなって思っただけで」
俺の質問に悲しそうな声で返す梨花ちゃんに慌てふためく俺。電話口の向こうを想像するに、梨花ちゃんは恐らくそんな俺をクスクスと笑っているのではないだろうか。
「理由は……特にないのです。ただ、圭一の声が聴きたいだけなのです」
梨花ちゃんの、恥ずかしそうな声にドキリと胸が高鳴った。おいおい、反則だろその言葉は。
「そ、そうか。いやなんていうか……」
俺が恥ずかしさから答えに窮していると、それに、と梨花ちゃんが言葉を続けた。
「沙都子がこの部屋を出て行ってしまったので……」


そう言われて、自分のうかつさを呪った。そうだった、沙都子は悟史が戻ってきてから、彼と一緒に元の家に戻ったのだった。そのときは沙都子に向かって「心配しなくても大丈夫なのですよ」なんて言ってたけれど、百年孤独に生きたとか言っていた気がするけれど、梨花ちゃんはまだ子供だ。しかも今は羽入もいない。一人の夜が寂しくないわけないじゃないか。
「……梨花ちゃん、今からそっち行ってもいいか?」
「み?」
「寂しいんだろ? だったら、電話なんかじゃなくて俺が側にいてやる」
深く考えずに、俺はそう口走っていた。梨花ちゃんからの返答はなかなか無い。その沈黙が、俺に冷静な思考を促した。
……よく考えたら、俺は今凄く恥ずかしいことを言ってしまったのではないだろうか。


「オオカミさんになりませんですか?」
ようやくポツリと返ってきた言葉に、思わず噴きだした。
「ならないから!」
多分。いや絶対。
「みー、冗談なのですよ」
梨花ちゃんはそう言って笑った。全くこの子は。俺がため息をつこうとすると、梨花ちゃんの小さな、呟くような声が聞こえてきた。
「……待っているのです、圭一」
そして、電話が切れた。
俺はすぐに立ち上がり、とりあえず目に付いた上着を羽織って、一目散に階段を降りる。
親に、こんな時間にどこへ行くんだと言われた気がしたが、そんなものはもちろん無視だ。帰ってきてから何を言われるかは、とりあえず今は考えないことにしておこう。
今すべきことはただ一つ、俺を待つお姫様のもとへ急ぐこと。俺は自転車に飛び乗って、夜の雛見沢を走り出した。
梨花ちゃんがどんな顔で俺を迎え入れてくれるのかを少しだけ楽しみにしながら。

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