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ひぐらしのなく頃に。


圭一と梨花(澪尽し編後)。

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放課後、さあこれから部活だと意気込んでいる最中、先生が教室の扉を開けてプリントの印刷を手伝って欲しいと言ったとき、一番近くにいたのは圭一と梨花の二人だった。
当然のように白羽の矢を立てられ、そして任された仕事は思いのほか膨大で、二人でそれを終えたときには、辺りは既に夜に包まれていた。
もちろん圭一は梨花を一人で帰らせるわけもなく、二人で月明かりが照らす道を歩いている。
「すっかり遅くなっちまったな」
「みー、圭一がのろまだからなのですよ」
梨花の言葉は相変わらず辛辣だが、その表情は明るかった。あの六月を越えた今、梨花がそれ以前に見せていたどこかシニカルな表情は形を潜めて、こうして楽しそうに笑う機会が増えた、と圭一は思う。
そして同時に、少なからず自分が梨花のそうした表情に貢献できているのだと思うと、どこか誇らしいものを感じる。
「圭一? 何をニヤニヤしているのですか?」
「あ、いや、なんでもねえ」
梨花の言葉に、圭一は大袈裟に表情を引き締める。それをみて、梨花がまたおかしそうに笑う。
思えば、こうして月の下を二人で歩くというのは久しぶりだった。六月の、二人で駆け回っていたあの頃以来だ。
その頃は、当然ながらどうしてもどこか張り詰めた雰囲気で、思えばこうやってただ二人の時間を楽しむのは初めてかもしれない。
「圭一? またニヤニヤしているのですよ。なんだか気持ち悪いのです」
「気持ち悪いって……ちょっと前のことを思い出してたんだ」
「前?」
「ああ。あの時も、こうやって夜の道を二人で歩いてたな、って」


梨花は、圭一の言うあの時がいつのことかすぐにわかった。忘れるわけがない。
「……そういえば、まだ言ってなかったわね」
梨花の口調が変わった。初めは圭一も、唐突に変わるそれに驚くこともあったが、梨花のことをなんとなく……会話の端々から予想することしかできないが、わかってくると、この梨花が本当の梨花なんだなといつのまにか納得していた。
「ありがとう……圭一には、何度お礼を言っても足りないくらいよ」
「いや、そんな改まって言われると照れるぜ……それに俺は当然のことをしたまでだからな」
月明かりに照らされて、照れくさそうに頬をかく圭一の姿が梨花の目に映る。
「ふふ……あなたのそういうところ、私、好きよ」
「へっ? あ、その……あ、ありがとな」
本格的に顔を赤くする圭一が、なんとなく可愛らしく、愛おしく感じて、梨花はさりげなくその手をとった。
「り、梨花ちゃん!?」
「みー、ここを誰かに見られたりしたら、あっという間に村中の噂なのです。そしたら圭一は魅ぃに何をされるかわからないのですよ、にぱー☆」
「ちょ、わかってんなら何で……」
尋ねようとすると、梨花はそれまでの余裕のある表情を少し俯かせた。
「……私がしたいから、じゃ駄目かしら」
流石に少し恥ずかしかったのか、梨花の声は小さくて、圭一からはかすかにしか見えなかったが、心なしか顔も赤くなっていて。
「……んなこと言われたら、男として応えないわけにはいかないな」
ぎゅっと握り返した梨花の手は思いのほか小さくて、そして握り返された圭一の手は思いのほか大きくて、そのちぐはぐな感触に言いようのない幸福感を感じながら歩く二人を見ていたのは、ただ空の月だけだった。

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