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久々。らき☆すた。


かがみとこなた。
メリークリスマス。

+ + + + + + + + + +

私の家は神社だし、つまりは神道だし、キリスト教のお祭りであるクリスマスには、特に何があるわけではない。
というわけでもなく、八百万の神様は外国だろうが宇宙だろうが、どこの神様だって構わないからというわけではないけれど、私の家でもフライドチキンが出てきたりケーキを食べたりして家族でそれなりの雰囲気を楽しむのだ、クリスマスには。
そして今年も例年通りで、メリークリスマス、なんて神主の家らしからぬ言葉が食卓に響く。私を含め、姉妹全員一緒に過ごす家族以外の人間がいないのは触れるところではない。暗黙の了解だ。
テレビでは街角の様子をレポーターが伝えていて、駅前に施されたイルミネーションの前でカップルがいちゃいちゃしている様子が図らずも映し出される。隣で姉の舌打ちが聞こえた気がしたが、聞こえないふりをしておく。
……私も、一緒に過ごしたい人がいないわけではないのだけれど。
漏れそうになったため息をなんとか押し殺して、チキンを口に放り込んだ。しかし一度頭にあいつの姿がよぎってしまうと、それを払うのはなかなか一筋縄ではいかず、次々に様々なことが思い浮かんでは消えていく。
クリスマスを一緒に、とさりげなく誘ってみたけれど、「ごめんバイト入ってるんだー」と無碍に断られたのが一週間前。私の存在は所詮その程度なのか、と落ち込んだりもしたけれど、仕方が無いとなんとか納得したのは三日前。
しかしそれでも、今頃あいつはかわいらしいサンタのコスプレでもして男どもに愛想を振りまいているのだろうか、と考えると、妙にむかむかした。
曲がりなりにも私はあいつの……恋人、という立場にいるわけで、恋人とクリスマスをともに過ごしたい、恋人の可愛い姿を他の人間(特に下心を持った男)には見せたくない、と思うのは変だろうか。否。
知らぬ間に手に力が入ってしまっていたようで、持っていた箸がぴきっと音を立てたことで我に返る。隣で姉が「かがみ怖い……」と震えているのにも、気付かないふりをしておいた。


ベッドに身を投げ出すのと同時に、はあ、と我慢していたため息がついに漏れた。夕食と、その後のケーキを半ばやけ食い気味に食べ終えて、もうクリスマスもこのまま寝たら終わりか、と思うと少しさびしさを感じる。人生初の、恋人同士で過ごすクリスマスは、今年はいよいよ叶わないまま終わってしまいそうだ。
ベッドに寝転がったまま、机の上に視線を向ける。綺麗にラッピングされた箱の中には、悩んだ末に選んだあいつへのプレゼント。一緒に過ごせないとわかってから、しかしなんとなく買ってしまったそれが、なんだか物悲しい。
もちろん今度会ったときに渡すつもりではいるけれど……それでも、やっぱり当日に渡したかったなと思うのは当然のことで。
「こなたのバカ」
ここにいない恋人に向けての一言は、もちろん届くわけもなく。このまま寝てしまおうかと、目を閉じた。


「……み」
声が聞こえる。
「……がみ」
ずっと聞きたいと思っていた人の声。
「かがみ」
夢だろうか。夢だろう。その人は今、ここにはいないはずだ。
「かがみ!」
夢にしてはやけにはっきりと聞こえたそれに、ゆっくりと目を開けた。蛍光灯の灯りが眩しく、少し目が眩む。ぼんやりとした頭のまま、ああ、やっぱり夢だったんだとまた目を閉じようとした、そのとき。
「起きた?」
ずい、と覗き込んできたのは、白い顔に大きな目、目元の泣きぼくろに青い髪の毛。
「……こなた?」
それは紛れも無く、待ちわびていた人の顔。
現実感の無いまま、手を伸ばしてみる。頬に触れる。ふにふにと柔らかいその感触は、夢にしては生々しく。
「かがみー、寝ぼけてるの?」
「……夢、じゃない?」
「現実ですが」
「なんでこなたがここに?」
「バイト終わってから急いで来たんだよ」
「ホントにこなた?」
「別人に見える?」
そこでようやく意識が急浮上して、ベッドからがばっと音がするくらいの勢いで起き上がった。私を覗き込んでいた彼女が、驚いて少し後ずさったのがわかった。
時計を見る。寝ていたのはわずかな時間だったようで、まだ午後九時を少しまわった時間だった。
そしてベッドの横の彼女を見る。それは間違いなく恋人の、泉こなたの姿で、それを確認すると、驚きを経て喜びが湧き上がってくる。
しかし疑問は解消されたわけではなく、とりあえず思ったことが口をついた。
「な、なんでこなたが……」
「だから言ったじゃん、バイトが終わってから急いできたんだってば」
何事も無いかのようにこなたが答える。しかしそれは聞きたいことではなく、いやそれも気になってはいたのだけれど。
「いやそうじゃなくて……」
「ん? あー、かがみんがさびしがってるかなって思ってさ」
聞きたかった答えは、しかしからかうような言葉で、少しムッとする。しかもそれが事実であるから、そこに恥ずかしさも加わって、いつものように何か言い返そうとしたのだけれど。
「……というか」
それよりも先に、こなたが言葉を続けたので、口を開く前にそれに耳を傾けた。
「私が、今日かがみに会いたかったっていうか……」
身構えていた私の耳に聞こえてきたのは、そんな言葉。
さっきまでのニヤニヤとした笑顔ではなく、赤い顔で、恥ずかしそうに目を逸らしながらのそれに、私も釣られて赤くなる。
「な、なな、何言って……」
「その、ほら、やっぱりこういう日くらい……その、こ、恋人と過ごしたいっていうかさ」
こなたがそんなことを言うものだから、自然と胸がどくんと鳴った。
ちょっと限界だった。わざわざ会いに来てくれたという事実とか、これ以上無いくらい顔を赤くしたこなたとか、いつにも増して素直な言葉とか、私と同じ気持ちだった嬉しさとか、そういったものがごちゃごちゃになって。
ベッドから立ち上がる。背の小さいこなたを見下ろす形になると、赤い顔をしたこなたは、それを見られたくないのか俯いてしまって、でもそれすら扇情的に見えてしまう。
気付いたら、手を伸ばしていた。
掴んだこなたの手を引っ張ると、私の胸に、小さなこなたが飛び込んでくる。その存在があまりにも愛おしくて、ぎゅっと抱きしめる。
最初は驚いた顔をしたこなたも、そのうち腕の中で大人しくなった。小さな手が、おずおずと私の服を掴んで、指先に力をこめるその仕草がまた、私を高まらせていく。
こなたの背中に回していた右手を、左手はそのままに、頬に添えた。こなたの体温が掌を通して伝わる、その感覚に酔っていく。
「こなた……」
意思をこめて名前を呼ぶと、こなたが顔を上げた。そのまま、顔を近づけていく。溢れそうな思いを、唇に乗せて。
……と、私の唇に触れたのはこなたの唇ではなく、こなたの、細い人差し指。
「ちょっと待って、かがみん」
唐突なお預けに、少し気が削がれる思いがして、それを表情でこなたに伝えた。こなたはそれを見て少し困ったように笑ってから、唇に添えた人差し指を離して、自らのポケットから何かを取り出した。
「その前に、これ。メリークリスマス、かがみ」
差し出されたのは小さな箱。こなたの誕生日に私が送ったような……。
思いがけないそれに呆気にとられる。さ、と催促するように言うこなたに、とりあえずまずありがとうとお礼を告げて、その箱を受け取った。
ゆっくりと開けてみる。と、そこに入っていたのはやはり、私が送ったものと同じようなデザインの指輪。
驚きと純粋な嬉しさに呆然としている私を、こなたが満足げな表情で見つめているのがわかって、少し恥ずかしい。
「手、貸して?」
こなたに言われるがままに、左手を差し出した。こなたは私があけた箱から指輪を取り出すと、当たり前のように薬指を選び……それは見事にぴったりとはまった。
「これで、かがみも私の嫁だよ」
「……バカ」
七ヶ月越しの指輪交換が聖なる夜なんて、ロマンチストにも程がある、と思いながら。
今度こそ愛しい「私の嫁」の、その唇に、誓いをこめたキスを落とした。




おまけ。


「そうだ。私もこなたにプレゼントあるのよ」
「え、ホントに? ありがとうかがみん!」
「こなたみたいな、ロマンチックなものじゃないけど……はいこれ」
「ありがとー。かがみからのプレゼントならなんでも嬉しいよ」
「ま、またそんなこと言って……」
「開けていい?」
「いいわよ」
「むふふ、なにかななにかなー……わ! 可愛い服!」
「こなたに似合いそうだなと思って……気に入ってくれた?」
「うん! 今度デートのときに着てくるよ!」
「で、デート……うん、楽しみにしてるわ」
「……ところで」
「ん、なに?」
「服のプレゼントって、『プレゼントした服を脱がせたい願望がある』って言うよね」
「はぁ!?」
「むふふー、かがみんにはそういう願望があるのかなー?」
「そ、そんなこと……!」
「なーんてね、冗談……」
「……ある……かも」
「へ? あ、あの、かがみん? 冗談だよ? なんで手をわきわきさせてるのかなー、なんて……」
「脱がせていい?」
「え、あ、ちょ、ま、まだ着てないから! ってそういう問題でもなくて!」
「こなた……」
「も、もう……優しく、してね?」


メリークリスマス。

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