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らき☆すた。


かがみとこなた。かがみ誕生日記念。
こなた誕生日SSの続きっぽく。


+ + + + + + + + + +

期待なんかしていなかった。
そう、期待なんて最初から、これっぽっちも微塵もかけらもしてなかった。だいたいあいつがいい加減な性格なのは既にわかりきっていることで、そもそも「もしかしたら何かくれるかも」なんて貰う側が思うこと自体厚かましいわけで。
色々な思考が頭の中を駆け巡る。それをまとめて放り投げる、なんてことは出来るわけもないので、代わりに体をベッドに放り投げた。制服がしわになるかもしれない。しかしそんなことを気にする隙間が無いほど、思考の濁流は学校から帰宅し疲労した体と頭を駆け巡っている。
バカ、と小さく呟いた。自分へ三割、あいつへ七割。自分勝手な一言だと我ながら思う。
でも、あいつの誕生日にあれだけ頑張ってプレゼントを選んだんだから、ちょっとくらい見返りを期待しても罰は当たらないはず……いやいや、それこそ傲慢というか、厚かましい。プレゼントを贈るか贈らないかなんて、結局自己満足な部分が大きいのだ。そりゃ、つかさやみゆきのような純粋な人間も中にはいて、そういう人は純粋に相手を喜ばせようとプレゼントを贈るのだろうが、きっと大部分の人間はある種のエゴイズムに基づいてそういった行動をとるのだ。多分。
実際、私があいつの誕生日にデザインリングなんてものを贈ってみたのも、「私があいつともっと仲良くなりたい」なんて打算が無かったわけではない。結果としてそれは想像以上の効果をもたらしたわけだけど、それはここでは置いておくとして。もちろん、そんな計算やエゴイズムなんてものは、相手には言えないものなのだが。
あいつは、こなたはどっちの人間だろうか、と少し考えてみる。あんなナリだけど意外に計算高いところがあるから、私のようなタイプか、それとも割と子供染みた純粋さを持っているからつかさたちのようなタイプか。と考えてみたところで、そのどちらでもないという結論に早々に達した。そもそも前提であるところの「誕生日」の存在を忘れていたのだから。


しかし、朝出会うなり「ごめん!」と両手を合わせられたのにはさすがに驚いた。
「今日が二人の誕生日だってすっかり忘れててさー、何も準備できなかったんだ」
少ししょげ気味にそんなことを言われては、もちろん文句なんて言えるはずもない。というより、さっきから言っているとおり、貰う立場の人間はそんなこと言えるわけがない。
「気にしなくていいわよ、そんなの」
「そうそう、こなちゃんがおめでとうって言ってくれるだけで嬉しいもん」
「そう? それじゃ……誕生日おめでとう、かがみ、つかさ」
そんなほのぼのしたやり取りを思い出すと、やっぱりつかさは良い子だな、なんて思う。こなたもどうやら心から忘れていたことを後悔しているようで、そんな姿を見るとそれだけでうれしい。
でもやっぱり……なんて思ってしまう自分が、少しだけ恥ずかしい。
しかし思いっきり言い訳をさせてもらうなら、私とこなたの関係が、この前のこなたの誕生日を境に少しだけ変わった、というのも、この酷くわがままで即物的とも言える思考の元凶にあるのだ。元凶と言うのはおかしいかもしれないけれど。
こなたにデザインリングをプレゼントし、あいつの左手薬指にそれをはめてあげたあの日。こなたと私の思いが通じ合ったあの日。
あれ以来、私とこなたの距離は確実に縮まった……はずなのだけれど、感覚的にはあまり変化がないのが正直なところだった。残念ながら。
元からこなたは過剰気味なスキンシップをしてくる人間だし、今思い返してみれば、あの日以前から、その、結構べたべたしていた気がするので、その辺りは仕方ないのかもしれない。そりゃ、手をつなぐ機会が増えたとか些細な差はあるけれど、それ止まり。も、もちろんそれ以上を求めてなんて……ない、と思う。
でも私が思いを伝えて、こなたがそれに応えてくれたのは確かなのだから、こういうイベントのときは、やっぱりいつもと少し違うことを期待してしまうのも仕方の無いことなのだ。うん。
……言い訳してみたところで、こなたが私の(そしてつかさの)誕生日を忘れていたことはどうしようもない事実なわけで。
肺の空気を全て吐き出すくらいの回数繰り返しているため息を、枕に顔をうずめて押し殺した。
「バカ」
これは、子供染みた自分への呟きだった。


気付くと、いつの間にか部屋が真っ暗になっていた。どうやらそのまま寝てしまったらしく、枕元に投げ出されていた携帯電話を見ると、時間は夜の八時を少し回ったところだった。
やけに静かな部屋に違和感を覚える。いつもならこの時間は、居間からテレビの音声や家族の声が聞こえてくるはずなのに……と思ったところで、そういえば今朝、両親は地域の会合か何か、姉たちは友人と遊びに行くので帰りが遅くなるとか言ってたなと思い出した。つかさは恐らく、隣の部屋で勉強でもしているのだろう。漫画を読んでいるか寝ているか、そのどちらかの可能性のほうが高いけれど。
ベッドから身を起こすと、妙な体勢で寝ていたのか少し節々が痛かった。頭がまだ少しぼんやりしている。
大きく伸びをすると、少しだけ思考がクリアになった。同時に、それまで麻痺していた空腹を感じる。夕飯を食べていないのだから当然だ。
何か食べよう……。
夕飯の時間は過ぎてしまったが、冷蔵庫を探せばまだ何かあるだろう。そう思いながら、立ち上がって部屋のドアを開けた。
部屋の暗さに慣れていたせいか、廊下の明かりが眩しい。しかしそう感じたのは一瞬のことで、すぐにその明るさにも慣れて、目の前にどんと置かれた巨大な箱をまじまじと見つめた。
……箱?
視覚情報としてそれを捉えてからワンテンポ置いて、その明らかにこの場に異質な物体の存在に驚いた。それは一辺が一メートルはあろうかという立方体に近い箱で、明らかに学校から帰ってきたときには無かったものだ。蓋が開かないようになのか、ご丁寧に赤いリボンが巻かれている。
「なに、これ」
思わずそんな言葉が口から漏れる。危険物、という可能性は無いとは思うが、そっと耳を近づけてみた。カチコチという不穏な音は聞こえない。爆弾では無さそうだった。
しかしそれにしても、全く存在の意味がわからない。よくよく観察してみると、リボンのところに小さなカードが挟まっていることに気付いた。
『Dear Kagami』
……私宛?
そのカードにはその一言だけしか書かれておらず、手にとって裏返してみたりしたが、他に文字は書かれていないようだった。
いよいよこの箱をどうすればいいのか悩む。考えられるのは誕生日プレゼントだが、こんな人が入れそうな箱で渡すほど巨大なプレゼントが思い浮かばな……「人が入れそうな」?
いやそんなまさか。そんな馬鹿なことをする人間なんて私の周りには。
「……いるわね、一人」
確信に近い疑惑を感じながら、その箱の蓋をトンと叩いてみた。反応は無い。
今度は少し強めに、ドンと叩いてみた。ガタッと大きな音とともに、箱が揺れた。思わずびっくりして後ずさる。といっても後ろは部屋のドアなので、そこに張り付くくらいまでしか下がれなかったけれど。
しかし今のではっきりした。この箱の中には、間違いなく何らかの生物が潜んでいる。しかも人並みサイズの。
とりあえず開けてみるしかなさそうだ。部屋の中に持っていってから開けようかと考えてみたが、サイズ的にも重量的にもなかなか厳しいものがあるので、その場で行動に移すことにした。
蓋を開けた瞬間に恐らく飛びついてくるであろう中身に身構えながら、恐る恐るリボンを解いていく。そして全て解き終わり、じっとその箱を見つめて一つ間をおいてから、えいっと思い切って蓋を開けた。
その瞬間、案の定中から飛び出してきたのは……ってあれ、何も出てこない。
「……かがみー」
箱の中からか細い声が聞こえてきた。それは予想していた人間の声だったけれど、その弱弱しさは予想していたものとは大違いだ。
ゆっくりと中を覗き込んでみると、ぐったりと弱りきったこなたがそこにいた。


「いやぁ、面目ない。箱の中って予想以上に暑いねー」
汗だくになっていたこなたをあわてて箱から引きずり出し、エアコンを効かせた部屋に入れて水分を与えた。渡したタオルで首筋あたりを拭きながら、さっきまで死に掛けたような表情をしていたこなたはすっかりいつもの通りへらへらしている。
「バカすぎてどこからつっこめばいいのかわかんないわ……」
話を聞くと、どうやら一時間は箱の中でスタンバイしていたらしい。もう夏と言ってもなんら問題はないこの季節に、狭い箱の中に一時間もいればどうなるかくらい予想は出来るだろうに。
「それで、何であんなことしてたのよ」
体調も回復したらしいので、回りくどいツッコミは入れずに、単刀直入に聞いてみた。するとこなたは、まさにきょとんという表情で私を見つめてきた。
「あれ? わかんないかな」
……いや、なんとなくわかるよ。わかるけど、まさかそんなベタというかバカなことを本当にする人間がいることが信じられないだけだよ。
心の中で呟いて、こめかみの辺りを思わず押さえた。
「つまり、私がかがみの誕生日プレゼント! まあ失敗しちゃったけど」
こんなはずじゃなかったのになー、とか、せっかく色々準備したんだけどなー、なんて言葉をこなたは独り言のように言った。その中の言葉に、何か引っかかるものを感じる。
「準備って……あんた、忘れてたんじゃないの?」
「ああ、あれウソ。サプライズっぽくやろうと思ったんだけどね。つかさにも協力してもらったんだけどなぁ」
こなたはブツブツと計画の失敗に対する愚痴めいた言葉を繰り返した。
なるほど、確かに家に入ってきて私の部屋の前にあんな巨大な箱を置いた時点で、つかさの協力があったことは間違い無さそうだ。
「この服もこの日のために用意したんだよ」
そう言ってこなたは立ち上がり、くるりとその場で一回転して見せた。驚愕やら慌しさやらで気付かなかったけれど、確かにそれは普段のこなたが着るような服ではなかった。
白を貴重としたふわっとしたワンピースに、ところどころ花飾りやフリルがあしらわれている。なんとなく、ウェディングドレスを髣髴とさせるようなデザイン。
「私をもらって! ときたらやっぱりウェディングドレスだよね」
どうやらこなたは元からそれを意識していたようで、前から準備していたというのは本当のことのようだった。どこか清楚さを感じさせる服と普段のこなたとのギャップに、少しだけドキドキする。
よくよく見ると、薄手の白い生地は汗でしっとりと肌に張り付いていて、ともすればこなたの肌が透けてしまいそうで……って、何を考えてるんだ私は。
思わず、こなたから視線をそらした。
「それで、さ。かがみ」
こなたの、少しさっきまでとは違った声に、そらした視線を再びこなたのほうへ向けた。こなたはそれを確認したかのように、そっと近づいてきて、目の前にすとんと座った。
上目遣いで瞳を覗き込まれる。やばい、そらせない。
「私のこと、もらってくれる?」
「んなっ!?」
恥ずかしさやら煩悩やら、様々な感情がその一言とこなたの上目遣いで一気にシナプスを駆け巡ったのがわかった。顔が一気に赤くなるが、しかしやはりこなたの瞳から顔を背けることが出来ない。
「……これ」
うろたえる私に、こなたはスッと左手を差し出した。そこには、こなたの誕生日に渡したデザインリングがはめられていた。普段のこなたは流石に外しているので、それをこなたがつけているのを見るのは久しぶりだった。
「これもらって、かがみと私が同じ気持ちだったって知って、凄く嬉しかった。でも・・・…それから特に何か変わったわけでもなくてさ。もしかしたらあれは、夢だったんじゃないかなって思うこともあった。そのたびにコレ見て、夢じゃないんだって確認して、でもやっぱり不安で」
「……こなた」
こなたの目は真剣だった。頬を染めながら、泣きそうな、恥ずかしそうな、どうやって胸の中の思いを伝えようか悩んでいるような、そんな表情だった。
「かがみ……だから私をもらって欲しい。私に、あれが夢じゃないって教え……」
こなたの言葉を、私は遮った。触れ合った唇から、言葉の続き、こなたの抱えていた思いが伝わってくるような気がした。
そのまま何分、もしくは、何秒経っただろう。唇を離し、閉じた瞼を開けると、同じようにゆっくりと目を開くこなたの顔があった。
「バカ」
これは、お互いに向けた言葉。こなたを不安にさせていた私と、不器用なこなたと。
「何度でも教えてあげるわよ。夢じゃないって」
そっとこなたの頬に掌を添える。それに応えるように、こなたはまた瞳を閉じた。
「……なんだか、かがみの誕生日なのにわがままだ私」
「そう? 良いんじゃないの、私も良いプレゼントもらったし」
そもそも、誕生日プレゼントなんてそんなものだ。やっぱりこなたは私と同じ種類の人間なんだな、と思いながら、とりあえず今夜はゆっくりとプレゼントを楽しむことにしようと、ゆっくりと私も目を閉じた。


贈った人も、もらった人も、どちらも幸せになれる素敵なプレゼントを。

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