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らき☆すた。


続き。終わり。

+ + + + + + + + + +

そのかがみは待っていた。
時間的には既に学校が終わって、そろそろ生徒が帰宅の途に着く時間である。その時間に、こなたの家の前でそのこなたを待っていた。
手には、綺麗に包装された小さな箱が握られている。悩みぬいた末に選んだ、彼女へのプレゼントだった。
まさかこなたが自らを心配して家に赴いているとは思いもせず、遅いな、どこかに寄り道でもしてるのかな、なんて腕に巻いた時計を見てみる。針は既に夕方を告げていたが、このところ急に頑張りだした太陽は、まだ明るく辺りを照らしていた。
待っている間、妙に心臓が高鳴っていた。なんだか、告白を控えているようだと苦笑をもらそうとして、その考えに自分で赤くなった。心を落ち着けるように、一度大きく息をついた。
やがて、周囲が仄かに赤みを帯びてくる頃、顔を上げたかがみの目に、目立つ青色が飛び込んできた。どくんと心臓が鳴る。手に持った箱を少しだけ強く握りなおして、後ろ手に隠した。
その青色は、自分の家の前に立つかがみに気付いたのか、驚いた表情で足を止めた。その様子に、体調不良を騙って学校を休んだことを今更ながらかがみは思い出す。
まあその言い訳は後ですればいいだろう、と思っていると。
「かがみーっ!」
とんでもない速さで、こなたが走ってきた。その表情は……どこか怒っているように感じられるのは、かがみの気のせいだろうか。
かがみが戸惑っている間にこなたはかがみの目の前で急ブレーキをかけ、ずいと顔を寄せた。やはり怒っている。
言葉を出しあぐねていると、こなたがそんなかがみなど意に介さずに口を開いた。
「どうしてずる休みなんてしたのさっ!」
ばれてる。いやあんな家の飛び出し方をしたらそれはばれないわけが無いとは思うが。
言い訳、というか事実を告げようとしたのだが、捲くし立てるようなこなたにそれは阻まれた。
「お見舞いに行ったらいないし! なんかあったのかと思って心配したんだから!」
どこか必死なこなたの目は少しだけ潤んでいて、かがみは今更ながら罪悪感を覚えた。祝うべき人間にお見舞いにまで行かせるほど心配をかけて、結果こんな表情をさせてしまっては、本末転倒もいいところではないか。
「……ごめんね、こなた」
心からそう言葉にすると、こなたは不機嫌な表情は変えなかったけれど少しだけ落ち着いたようだった。
まあ何もなかったんならいいんだけど、と小さく呟いてから、いよいよ本題とでも言いたげに、腕を組む。
「……それで?」
「え?」
「だから、学校サボって何やってたのかなかがみは」
言われて、忘れかけていた本来の目的を思い出した。後ろ手に隠していたそれの存在感がにわかに増してくる。
改めて渡そうとすると酷く意識してしまって、なかなか固まった腕が動いてくれない。しかし、このために今日だけではない時間を費やし、こなたにこんな表情までさせてしまったのだから、渡さないわけにはいかない。
意を決して、かがみはそれを差し出した。
「これ……ホントは学校で渡そうと思ったんだけど、なかなかいいのが見つからなくて」
こなたはそれが何なのかわからなかったのか、差し出された箱を呆けたように凝視した。しかし今日と言う日を思い出し、次の瞬間には目を丸くする。
「コレってもしかして……」
「……誕生日のプレゼントよ」
「コレ買うために学校休んだの?」
「馬鹿で悪かったわね」
「そんなこと言ってないじゃん」
「……いらないなら、無理に貰ってくれなくても」
「あ、いやいや! いるから! ちょっと驚いただけ……そっか、かがみんはそんなに私のことを」
「だ、誰もそこまで言ってないでしょ!」
さっきまでの不機嫌がどこへ行ったのか、こなたは上機嫌でそれを受け取った。原因が分かってしまえば、逆にかがみがどれだけ自分のことを思ってくれているかがわかって、むしろ言いようの無いほどの嬉しさすら感じる。
掌に収まるくらいの大きさのそれを綺麗に開封すると、同じ大きさの小さな箱が出てきた。
ゆっくりとそれを開けてみる。恥ずかしいのか、かがみはそんなこなたの一連の動作からは目をそらしていた。
「わー……」
その中にあったのは、青い小さな石がはめ込まれた、シンプルなデザインリング。
「こなたはそういうの持ってないかなと思って……自分で買うものをあげても仕方ないし、良いかなと思ったんだけど……」
不安げに言葉をつむぐかがみの姿は、こなたの胸をどうしようもなくきゅっと締め付けた。その姿と、学校を休んでまで選んでくれたという事実で、かがみがどれだけ悩んでこれを選んでくれたのかがわかる。
「うれしいよ。ありがとうかがみ」
だから、とびっきりの笑顔でそう返すと、かがみの顔が面白いくらい赤く染まった。そんな顔を見られないように、かがみは顔を背ける。それもこなたにはかわいくて仕方が無かった。
「……ごめんね。こなたには心配かけちゃったみたいで」
「もうそれはいいんだよ……むしろそれも今となればうれしいし。もしかしてここんとこ付き合いが悪かったのもこのせいかな?」
「う、うるさいな……こなたの趣味が偏りすぎてるのが悪いのよ」
その通りだと答えていることに、果たしてかがみは気付いているのかいないのか。
そして、二人の間にわずかな沈黙が走る。


まだ顔が赤いままのかがみに、こなたは今貰ったばかりの指輪を差し出した。かがみは、こなたの意図がわからないままそれを受け取る。
すると今度は、こなたは左手を差し出した。そこでかがみも理解する。これはつまり。
「かがみんにはめて欲しいな」
からかう風でもなく、悪ふざけでもなさそうな表情で、こなたはそう言った。そんな表情でお願いをされたときの断り方を、かがみは知らない。
ゆっくりと、かがみのそれより小さな手を取る。冷たく感じるのは、こなたの体温が低いのか、それとも自分の体温が高いのか。
最初は中指にはめようとしたのだが、こなたの指のサイズが分からなかったために小さめのものを買ったのが悪かったのか、上手く入らない。
「……この指がいいな」
焦るかがみに、こなたは小さな声で言いながら、その隣の指、薬指を動かした。
さすがにそれは、と言おうとしたかがみの瞳と、こなたの瞳が交わる。吸い込まれそうなそれに、言葉は出てこなかった。
かがみは優しく手を握りなおし、こなたの薬指にそれをはめた。今度は計ったように綺麗に収まった。
お互いにそのまま、無言で見つめあう。こなたの顔も、既に傾いている太陽のせいだけとは言えないくらい、赤い色をしていた。
「……これじゃ、『かがみは私の嫁』じゃなくて、『私はかがみの嫁』だね」
「またアンタは……」
お互いに、小さく噴出した。笑顔のまま、しかしその手はまだ離れない。
「ねえかがみ……この後、どうするか知ってる?」
こなたの言葉は挑戦的で、しかしどこまでも真剣で。
「この後、ね……でもまだ最初のステップも踏んでないわよ」
答えるかがみも同様で。
「そういえばそうだね。じゃあかがみん、よろしく」
こなたのその言葉に、かがみは優しく笑って。


「私ね、こなたのことが……」

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