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らき☆すた。


こなたとかがみ。

+ + + + + + + + + +

秋葉原へ行こうと言い出したのは、もちろんこなたのほうだった。確かに今度の週末は暇だと言ったし、欲しい本があるとも言ったけれど、わざわざそこまで行く必要性が感じられず、私はそのままの意見をこなたに告げた。
するとこなたはにやりと笑って、「わかってないなぁかがみんは」なんて言ってきたけれど、もちろんわかるはずもなく。
しかしなんだかんだでいつものように、いつの間にかそれは決定事項になってしまった。
……まあ、こなたと出かけるのは嫌じゃないから、別に良いんだけど。


約束の日。珍しくこなたが約束の時間よりも早いにも関わらず待ち合わせの場所にいた。
「おっはよーかがみん!」
私を見つけて手を振る彼女のテンションはいつもに比べて明らかに高い。
「今日はやけに早いじゃない」
おはようと言葉を返してから、当然そんな言葉をかけてみると、こなたは得意げに胸を張った。
「そりゃ、寝ないで来たからね」
「威張るな」
まあそんなところだろうと思ったけど。
「なんかさー、徹夜明けって妙にテンション上がるよね」
「わかるけど、ちゃんと寝なさいよ……」
どうせそのうち眠くなるんだろうし。
呟いた言葉は、「今日の私は最初からクライマックスだぜー!」と叫ぶこなたの耳には恐らく聞こえてないなかっただろう。

思えば久しぶりの秋葉原は、やはり独特の雰囲気に包まれていた。何度かこなたに連れられて来たことはあるけれど、なかなかこの街の空気は溶け込みがたいものがある。
「わかるよーかがみ。私もあんまりこの雰囲気は好きじゃないんだよね」
私の心を読んだのか、それとも知らない間に口から出ていたのか、こなたがうんうんと頷いた。
なんていうの、あざといって言うかさ。秋葉原っていうのはもっと殺伐としてるべきなんだよ、ゲームの棚を見てる隣の客といつキャラデザについて喧嘩が始まってもおかしくない、そんな雰囲気が……。
こなたは尋ねてもいないのにぶつぶつと呟きだす。というかそのネタはさすがに古いんじゃなかろうか。
それはさておき、こなたくらいのディープなオタクになると、逆に一周してそんなものなんだろうか。
「でも結構頻繁に来てるわよね、アンタも」
「そりゃまあ、品揃えで言ったらやっぱり飛びぬけてるからねぇ」
仕方ないのだよ、とこなたは言った。そんなものなんだろう。


「いやー、久々に満喫したよ」
気付けば時刻は夕方近くで、気付けばこなたの手には色々な店の袋が握られていた。いつの間にそんなに買ったんだと思いながら、しかし自分の手にも多少なりとも同じような袋が握られている。
「こういうところ来ると、つい欲しくないものまで買っちゃうのよね」
「おぉかがみん、いよいよこっち側に近づいてきたね」
「そ、そんなんじゃないわよ!」
駅のホームは同じような袋を持った客が少なからずいて、私もその中の一人なのかと思うと少し微妙な気分だったけれど、否定は出来ないので何も言わない。
何より、こなたがホクホクと満足げな表情をしているので良しとしよう。
やがて、電車が滑り込んでくる。時間が時間なだけに座れるとは思っていなかったが、タイミングよく乗り込んだ場所は降車客が多かったらしく、二人分シートが上手い具合に開いていた。
歩き回って疲れていたので、今は遠慮なくその席に座らせてもらう。
電車が走り始めてしばらくすると、左肩にちょっとした重さを感じた。見ると、こなたがうとうとと睡魔の誘惑に晒されているようだった。
そういえば、寝てないとか言ってたな。
「寝てていいわよ、降りる駅が近づいたら起こしてあげるから」
「んー……ごめんかがみ……ゴールしてもいいよね……」
それは縁起でもないからやめろと言おうとしたけれど、あっという間に睡魔に屈したこなたを見て、黙って肩を貸しておくことにした。


一定のリズムで揺れる電車は、そのたびにがたんという音を立てる。それと低いエンジン音とが入り混じった独特のメロディは、確かにこの世でも有数の夢の世界への誘いだろう。
しかしそれにしても、隣のこなたは誘われすぎではないだろうか。ちょっとやそっとじゃ起きないくらいぐっすりと寝入っている。
その寝顔は眼福ではあるが、あまり他人には見せたくない。こんな顔を見れるのは自分だけで十分だという、つまらない独占欲。
そんなことを考えていると、いつの間にか電車は目的地に着こうとしていた。幸せそうなこなたを起こすのは少し気が引けたが、起こさないわけには行くまい。
「こなた、もう着くわよ。起きなー」
「……んー」
……ダメか。
「起きろってば、こなた」
ツンツンと頬をつつくと、くすぐったそうにむにむにと口を動かす。かわいい。じゃなくて。
「おーきーろー」
「んー……もう少し寝かせてー……」
全くコイツは。
気付くと、向かいの席に座っている会社員っぽい男性と、その隣の女性が何か微笑ましいものでも見るようにこちらを見ていた。なんだか無性に恥ずかしい。
「置いてくわよー」
「やだぁ……」
子供かコイツは。いや見た目からして子供だけど。
「こーなーたー」
「うー……じゃあ起きるからおはよーのちゅーしてー……」
……は?
「ちょ、な、何言ってんのよアンタは!」
「いつものー、かがみー……」
いつもって、そんな嬉し恥ずかしいこと一回もしたことないわ!
いやツッコミどころはそこじゃない。何を全力で寝ぼけてるんだコイツは。
恐る恐る、チラッと向かいの席に視線を向けると、お兄さんはあからさまに目をそらし、お姉さんは興味津々な瞳を向けていた。お姉さん自重してください。
そうこうしているうちに電車はだんだんとスピードを緩め、私たちが降りるべき駅に停車しようとしていた。
このままでは埒が明かない。とりあえずこなたの手を無理やり引っ張り立たせた。
「はっ! な、なになにかがみん、ここどこ?」
「いいからさっさと降りるわよ!」
ちょうど電車が完全に停止し、扉が開いた。
状況が把握できないこなたの手を引きながら、逃げるように電車を降りる。
こんな恥ずかしい思いをしたのは、生まれてこの方一度も無いかもしれないくらいの羞恥心の片隅に、先ほどのこなたのセリフを二人っきりのときに聞きたかったとか考えている私がいることに気付いて、余計に恥ずかしくなって歩くスピードを速めた。
手を引かれたままのこなたは、まだ自分の置かれた状況やらなにやらが全くわからないようで、どうしたのさーと呑気な言葉をかけてくる。
とりあえず、こなたと出かける前日は、コイツに絶対に寝てくることを誓約書にでも書かせようかと、私は真剣に考えていた。

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